微睡
忙しかった頃はあれほど自由が欲しかったのに、いざ自由になるとどうしていいか分からず、時間を持て余している。冷たいシーツに包まって、しんからぼんやりする。陽の光に煌めく埃を見て、少しだけ永遠に手が届いたような気がした。
オイディプスの刃 - 赤江瀑
美しい妖刀が招いた白日の惨劇。特に冒頭の筆致が素晴らしい。夏の陽射しとラベンダーの芳香に包まれて、白昼夢を見ているようでクラクラした。
解説にあった皆川博子の追悼文「赤江瀑を透して向こうを見ると、外界が歪むのである。そうして、歪んだ情景が心地よくなる。そこに身を添わせていたくなる」まさにそう、と言いたくなった。
志乃ちゃんは自分の名前が言えない - 押見修造
私は吃音じゃないけれど、普通のことが普通に出来ないだけで馬鹿にされた経験があるから他人事とは思えなくて、読んでいて苦しかった。
「私が追いかけてくる 私をバカにしてるのは 私を笑ってるのは 私を恥ずかしいと思っているのは 全部私だから」物凄く分かる。自分が自分である限り辛い気持ちは付きまとう。自分を好きになるために震えながら立ち向かう志乃ちゃんみたいなエネルギー自分には全く無いから眩しかったな。
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GINZA (ギンザ) 2023年 3月号[クリエイターが住むお部屋]
とっても良かったのでこれも是非。
Face the Fire - Boy Harsher
まるで80年代からタイムスリップしてきたかのような質感。妖しげで奇妙な浮遊感が病みつきになる中毒性の高い音楽。